版画図案3「神を哲学した中世」という本を読み終わった。中世神学の前提にあった思想的な背景というか当時の感覚というか、そういうものについて書かれている本で、とても面白かった。

中世思想史の大前提に「普遍論争」があるが、僕はあまりちゃんと知らなかった。「普遍論争」とは最もざっくり言えば「概念は実在するかどうか」という論争であり、現代の感覚では「実在しない」というのが答えになる。我々が日常で「実在するもの」として扱っているのは個物の方であり、概念というのは「頭の中にだけある設定」みたいなものだと考えている。ところが中世の常識では「実在する」の方が答えになる。それも「個物と同じように実在する」のではなく、「個物よりもいっそう確かに実在する」と考える。

これを踏まえないと、中世人の感覚は理解しにくいという。どうしてそんな考え方になったのか、「実際には」どういうノリでそれをやっていたのか。中世人といっても「身体」的には我々と同じ人間であり、生まれてきて死んでいくのは変わらないし、喜怒哀楽なんかもある程度共通なはずだ。その一方で、かなり理解しがたい面もある。その中には建前とか学識に過ぎないようなこともあるだろうが、庶民が感覚として持っていることもある。

現代の日常生活とは違う考え方や信念を、その感覚において分かろうとするようなことが僕はとても好きだ。人生とか生活に対して、今と違う考え方があるということ自体が何か頼もしく思える。現代の感覚だけでやるのはつまらない。

中でも、やはり中世~近世のヨーロッパの思想史が好きだ。そこを選んだのは、単に最初に興味を持ったのが魔女狩り(15~17世紀)だからかもしれないが、ずっと興味を惹かれている。