ミニゲーム「カニバルバーガー」をリリースしました。
 
必ずしも潔白でない手法を用いて暗黒バーガーショップを経営する、たいへん趣味のいいシミュレーションゲームです。Android版とPC版があり、無料で遊べます。詳細ページはこちら。とても短いゲームなので、ぜひ遊んでみて下さい。
 
 
さて、ゲーム内容については詳細ページに書いたので、ここでは開発過程のことを書こうと思います。
 
実際「カニバルバーガー」はかなり前からある企画で、中断と停滞を繰り返してきたため、完成までめちゃめちゃ時間がかかってしまいました。その反省会と、思い出の記録を兼ねて。
 
* * *
 
暗黒飲食店のゲームを作りたいと思ったのは、たぶんまだ大阪にいた頃で、5年以上遡る。ただ、アプリで作ると決めたのは2016年の春で、現行バージョンを作り始めたのは2018年の春なので、開発期間は3年ないし1年ということになる。
 
当初は「貴族が屋敷に人を集めて商品開発をする」というアイデアで、ハンバーガー要素はなかった。
 
set2
 
2011年にロクジョー・ミヤコというキャラができて、シリアルキラー的な属性を担当するキャラになった。飲食店のゲームなら、これを主役あるいはガイド役にするのが似つかわしい。
 

 
最終版ではこんな感じに。
 
しかし、2015年以前は「具体的に何の媒体で作るか」を検討するところまで行っていなかった。FLASHとかガラケーでできるゲームをイメージしてたくらい。
 

 
2016年の春に「英子無双」(現:英語番長)」の開発が行われ、私はコーディングしていないが、キャラ以外の画像をだいたい全部作り、Unityに触る作業が結構あった。それで、開発を一通り見ていたので、「自分でも何か作ってみようかな」という気になった。
 
それで、Unity製アプリとして「カニバルバーガー」を作ることにした。
 
プログラミングは、簡単なbot程度なら作ったことがあったが、ゲームを作るのは初めてなので、まずはphpで簡単なサンプルを作ってみた。面白さ検証を兼ねて。
  
スクリーンショット (16)-2
CannibalBurger1.1

 
面白いような、面白くないような感じだった。
 
「やってきた客層を見て行動を決める」というゲームの流れは、香山哲先生が以前発表していた「Cooler」というゲームの影響を強く受けている。
 
Coolerは「事故を起こした原発の運営者になって、事態の収拾を図る」というゲームだ。そこでは抗議にやってきた人々の色や形を見て、効果的な行動を判断する。どう頑張っても最終的には破滅的な事態となり、破滅までの時間をどれだけ引き延ばせたかが概ねスコアにあたる。それと同じように、自分のハンバーガー・ゲームも「最終的には必ず逮捕されてしまう」という路線で当初は考えていた。
 
しかし、それだといまいちプレイ目標に欠ける。「カニバルバーガー」にはCoolerのような風刺要素はなくて、ただの悪趣味なので、結局「期日までにお金を貯める」という路線にした。
 
memocolor3
 
この時点では、複数の食材を組み合わせてバーガーを作るゲームだった。つまり「役を作るゲーム」の面があった。何せハンバーガーなんだから、挟むものが一種類ということはない。超簡単な麻雀みたいな感じで、食材で役を作って高得点を出すゲームにすれば面白そうだ。
 
結果から言うと、この発想は良くなかった。ゲームが非常に複雑になってしまって、開発が遅れる要因になった。

加えてもう一つ、「アプリなんだから課金要素を入れたい」という想いもあった。ガチャを回してコレクションするとか、実績を開放して積み重ねるとか、そういうパートが欲しい。しばらく続けて遊べるようなものにしたい。
 
この発想も良くなかった。色々やろうとし過ぎなんである。しかしこの時点では、その方が絶対面白そうだしやってみたかった。
 
それでとにかく、画面作りに進んでいった。
 

  

 
メイン画面には苦労した。
 
「お客の色を判断するゲームだから、背景は色抑えめにしよう」と考えていたが、これは実際にやってみると、チグハグでまとまらない感じになる。かといって、背景にちょっとでも色が入ると、お客の色を判断することはたちまち困難になる。
 

 
どこかの段階で黒背景にすることを決める。
 
画面案nikiyou3画面案nikiyou522
 
こんな感じに整えた。お客は一色だと寂しいので、「2~3色使える」という形を検討する。または同じ色の明色と暗色で塗り分ける。システム上も「多色キャラ」は複雑さが出て面白そう。
 
他の画面も作っていく。
 
画面案32
 

 
お客を飼育する要素や、街をうろつく要素が存在していた。「議会」は課金要素であり、街の立法にいっちょかみすることで、ゲームのルールを少しだけ有利に変えることができる。
 
食材はサイコロで表されるパワーと値段、そして特殊効果を持っており、それらに役の得点が追加される。
 
それにしても、この食材選択画面のややこしさ。果たしてスマホで見れるのか? そして全体像としても、既にかなり複雑なゲームになってしまっている。
 
しかし、この時点ではそのことに気付いてなくて、むしろもっと複雑で細かいことを考えてしまっていた。食材選択はドラムロールっぽくしたいとか、背景をバーガーの包装紙っぽくしたいとか、ボタンの縞模様は動くようにしてカラクリ感を出したいとか、プレイヤー能力のグラフは三角形の面グラフにしたいとか……。サイコロ用のフォントとかも作った。
 
SUSUP
 
こんなん先に作ったりさあ。ゲージが単に伸びるのではなく、ランプが点灯していく感じで増える。
 
とにかく細かすぎるわけだが、この画面案をUnity上に配置するという作業までは行った。
 
gamen
 
このように。
 
隣接する画面はスクロール遷移させたかったので、まずそれ用のコードを書いた。
 
そして、メイン画面にお客を表示させるコードも書いた。
 
これがこの年に到達できた最終地点だった。ここで、根本的な問題が浮上してきたからだ。
  
つくりかけ
 
それは、「メイン画面がなんか見づらい」ということだ。 
 
ていうか何これ?
  
多色とか色々やってみた結果、「ぱっと見で何色が多そうか」は全然分からない感じになってしまった。
 
「何色が多そうか」? しいて言えば白が一番多く見えるが、それはゲームと関係ない色だし、チカチカして見づらい。まだ4色しか使ってなくて、ランダムですらないのに……。
 

 
お客デザインを見直してみたが、見栄えの問題を解決できない。「ぱっと見で何色が多そうか」がどうにも判別しづらい。色がランダムで成り立つようにするのも想像以上に難しい。「やってきた客層を見て行動を決める」はゲームの根幹なので、これが上手くいかないと制作を進められない。
 
そして、やっぱり全体像が巨大過ぎる。とてもよくある失敗だと思うが、「役を作るゲーム」も「課金要素のあるアプリ」も「ランダムな色をいい感じにビジュアルに落とし込む」もただでさえ複雑なのに、それらを同時にやろうとしているのだ。
 
結局行き詰まって、モチベーションが切れた。「最初から難しいことしようとし過ぎ」に尽きる。
 
そういうわけで2016年の開発は終わった。夏ごろのこと。
 
時は流れ……。
 

 
その年の冬に「パズルにすればよいのでは?」と思い立って、考えてみたが、まとまらなかった。
 

 
「シューティングにすればよいのでは?」という説もあったが、まとまらなかった。
 
この後「ヴォイニッチならべ」というゲームを思いついて、それもまとまらなかった。「ヴォイニッチならべ」はフォントだけが完成した。→ヴォイニッチ等幅
 
再びやる気になったのは2年後、2018年の春で、「もうめっちゃシンプルにすればいける気がする」と思い立って再着手した。
 
「一か月で作れる内容にしよう」と思って、客の色は1色とし、メイン以外の画面は廃止し、街をうろつくのも止め、「景気」とか「店の愛され度」とかも廃止した。ガチャも諦めた。
 
一度に使える食材は1つにした。食材が1つだとハンバーガーである意味が無くなるが、意味はなくてもいいんじゃないか。
 

 
デザインはかなり粗いドットで行くことにした。ドットはドットで難しいかもしれないが、簡単に統一感が出せる。全体がシンプルデザインなら、お客が1色でも寂しく感じにくい。そして、粗いドットは比較的速く作れる。
 
粗いことに意味がある感じにしたいので、長辺をファミコンの横サイズに合わせる。色も絞る。フォントは「読みづらいけど、省スペースでかっこいいフォント」を選択。これについては迷ったけど、かっこよさを優先する。ここでかっこよさを取るのだから、広告も入れない。
 

 
いける気がしたので2日で90体できた。次の日にアイテムのドットもできた。ゲームの中心となるコードは一か月くらいで上がった。
 
 
 
お客に白色も使っていいことにした。だいぶ見栄えが改善した。
 
「疑われ度」SUSは緑色で表すのがこだわりだったが、分かりづらいので「カルマ」にして赤色にした。やっぱり赤いほうが危険に見える。
 
音とゲームバランス以外はほぼできていた。街うろつきは一旦廃止したが、ゲームが単調すぎるので、要素を絞って再導入した。
 
が、完成までは行かなかった。引っ越しがあって集中力が切れた。また、効果音とBGMを自作しようとしたため、DAWを導入したりして疲れた。BGMを作るのは難しくて、2018年の開発は終わった。夏ごろのこと。
 

 
明けて2019年、「やるか」と思ったので続きを作った。
 
BGMは諦めて無音にした。効果音は一部を除いてシンセで作った。
 
ここまでいろいろ諦めても、なおこのゲームは複雑だった。数字がめっちゃ多いし暗算が多いし、選択肢も実はかなり多い。実は、タイムリミットは元々30日でなく100日だった。100日のままだったらバランス調整は無理だったと思う。
 
テスターに「図鑑があるだけでもやり込み要素になるんじゃないか」という指摘をもらったので、1日で作って、テキストは3日で作った。エンドカードの絵は1日で作った。「ハイスコア画面からエンドカードが見れたらいいかな」と言われたので、ハイスコア詳細を半日で作った。余剰要素は後からわりと挟めることが分かった。
 
かくして、2019年の夏になんとかリリースまで辿り着いた。Githubのcommit数は43だった。もし一気に作れてたらトータル二~三か月でできてたかもしれないが、実際そうはいかぬものだ……。
 

 
教訓としては、とにかく「最初から難しいことしようとし過ぎ」。
 
開発期間は長引きましたが、出来はかなりライトで、気軽に遊べる感じになったと思うので、ぜひやってみて下さい。思い出話でした。

 


 
カニバルバーガー(Android版)
カニバルバーガー(PC版・zip)

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